2024年9月19日木曜日

お知らせと共に
















さて、体調の方は何とかもってまして、
毎日水やりをしたり、在庫の出荷なんかで体調の回復を基本に作業をしてます。
インスタにも書きましたが、11年続けた生産は在庫が無くなり次第終了致します。
もちろん、未練がないわけではありませんし、無理をすればまだ細々と出来るかもしれませんが、いいタイミングだと考えるようにしてます。

ということで今年はオリジナル系パンジービオラは一粒も播いてません。まだまだ作ってみたい柄や目指していたものはありますが、落ち着いたらいずれやれたらと思ってます。あと、庭先で作って売ってみたりとか。


前回の記事でタンジェリーナジョリーププの成り立ちをお話したわけですが、ぶっちゃけプロセスなんかはどうでも良いと思ってます。
出来たもの、発表したもの自体がどういうものなのかのみが問われると思ってます。
何年かかったとか、これが大変だったとかはその花を観てわかる人にわかればいいと思ってますし、実際すごいものは見ればやっぱりすごいんで。
基本自己満足なんで、マニアックな部分を共感してもらえることは嬉しい事なんですが、共感してもらえなかったとしても別に何とも思わないようにしてます。もちろん、それを他者に押し付けようとも思いません。そもそも印象の強い良い商品だから物語に意味が出てくるのであって、普通のものにわざわざ物語を語る必要性はないと思ってます。

早速ですが、どうでもいいと言ったプロセスですが、プロセス自体は自分にとってはとても重要で、大切な経験、データになります。ですのでこれからパンジービオラの交配をしてみようとされてる方の為になるかはわかりませんが、タンジェリーナジョリーププの経緯について書いたわけです。
前にも書きましたが、私が一番大切だと思うのは品種の知識です。一般品種の知識だけでなく、個人の品種も出来るだけ観て知識を得ていく。
何でもそうですが、知識は自分らしいものを作ろうとするなら必須です。
年数が経てば同じものを観ても必ず違う見方も出てきます。私自身、仕事で草花に関わりだして、パンジービオラを好きになって25年位です。内10年は生産者としてです。万単位を作ってましたが、たった10回しかしてません。短いもんです。
はたから見ると長く見えるかも知れませんが、まだまだパンジービオラは魅力いっぱいで、どこまで追えるんだろうかと不安になる程です。

是非こんなブログを見ている方にはしっかりパンジービオラの泥沼に嵌まっていただきたいです。
もちろん隣には私が手だけ出た状態でしっかりと埋まっています。手はサムズアップの状態で。

2024年7月23日火曜日

実践編?

 さて、今回は実践編になるかな?

まあ参考になれば。


今回はタンジェリーナジョリーププについて書いていこうと思います。










ププシリーズはうさぎ型のビオラのシリーズです。

うさぎ型っていう縛りがあるんで、今進めてるものも含めて基本狙い撃ちでやってます。

狙い撃ちってのは想像が先に有って、交配が後って事です。


発想としては交配でオレンジ系のバニー型があると、これからのププのバリエーション作りにはいいんじゃないかと思ったことです。

オレンジ系バニーは以前に神戸ビオラにオレンジバニーというのが有りましたが、私が自家採種出来ないまま廃盤になってしまい、自分で作るしかなくなったのが動機です。


遡ること2016年春にマットブラッキーププとフローラルパワーのアプリコットリップの交配から始まります。

F1は忘れたのですが、F2ではしっかり黒系と黄色系に分かれました。その黄色系のバニー型のものを固定していきました。

そして、2019年春にその黄色系バニー型とももかのおれんじと交配。

F1はもちろん黄色系のみでした。

おそらく、F2ではオレンジ系が分かれてくると想像して蒔いたF2の中に一つだけオレンジ系バニーが出てきました。


それを自家採種したものが現在のタンジェリーナジョリーププになります。

当初は発芽率がものすごく低かったのですが、少しづつ改善してきてます。


2022年秋に試験販売だったので6年位で何とかこぎつけた感じです。

当初は売るつもりはなかったのですが、二番目に出したカチカチファイヤーププがなかなか上手くいってなかったので、脳内会議を繰り返した挙げ句販売することにしました。

まだまだ不安定さはあるもののよくできた方かなと思ってます。


さて、名前についてはタンジェリーナは橙水晶、ジョリーは可愛いという意味からってのは建て前で、誰もが思う通りダジャレです。(笑)




2024年7月4日木曜日

育種って?他

前にオリジナルパンジー、ビオラについてで書いたんで、似る部分なんかもあるかもしれません。

でもあの記事から私の考えはまったく変わりません。

批判があったり、議論がおこったり、共感があったり、新たな動きがあったりってことは全く無く、やっぱりそうなんだろうなぁと思うことばかりです。

さて、今回は育種ってなに?と聞かれれば「品種改良をし続けること」と私は答えます。なんとなくですが、育種ってなんか無理やり直訳したような言葉じゃないのか?って疑問に思ったりしたりします。

しらんけど。

私はパンジービオラで交配する楽しみを知ってハマったわけですが、それ以外の植物に関しては全くと言っていい程ハマってません。もちろん育てたりするのが嫌いなら生産者にはなってないです。

プリムラやクリスマスローズやペチュニアなんかも触ってみよう(交配です)と試みたことはあるんですが、興味を維持することは出来ませんでした。ですので今では諦めて?もっぱらパンジービオラのみです。ですので育種家というよりもパンジービオラ専門の探求者という方が合ってると思いますね。私の知ってる範囲でですが、やはり育種家というといろんな植物に対して新たなものを作ろうとされる方のことかなあと思います。

さて、パンジービオラの交配について、どの花とどの花を交配させたかしっかり記録をとりましょうと川越さんの文でよく書かれてます。これはとても重要なことで、付け加えるならば「なぜこの組み合わせをするのか」も出来れば一言でいいので付け加える方が良いと思います。私の方法はスマホのアプリのエクセルで組み合わせや日付、理由を書いて残してます。データはもちろんクラウドにもしっかり保存してます。デジタルでは2011年から記録が残ってます。

理由がなぜ必要かと言われれば、その時の直感でも良いし、こういうのが出てきたらでもいいのですが、出来れば結果を想像するってこと。

その結果出てきたものが後のノウハウに繋がってくると思うからです。もちろんF1ですぐ結果がでるとは限らないのでF2まで見てということになるとは思いますが。


ではどんなものを想像するのか?ですが、

まあ好きなものを想像してでも構いませんが、突き詰めるのであればまだ無いもの、或いは無くなってしまったものであると革新的でしょう。

それには今あるものはどんなものかを知っていくことが必要になります。とにかくいろんなものを見て、育てたりすることで知識を深めることができると思います。

一般品種であれ、個人育種のものであれ、次第にどうすればこうなるのか、元になったものはどんなものか、自分で交配したものも含めて色んなことが積み重なって見えてくることがあります。

その中で自分の思い描くものを段階を追って作っていくことも出来るようになるんじゃないかと思ってます。もちろん、今あるものの再現を試みるってのも楽しいです。また、続けていくとポッと狙ったものでなくても良いものが出てきたりします。


さて、品種と呼ぶにはどうなればよいか?

品種って言葉の定義では学術的なものと種苗業界では違うと思います。

私は品種とは繁殖したときに揃うことと思ってます。この揃うってのもどのレベルまでって話は置いといて。

繁殖には知っての通り実生繁殖と栄養繁殖があります。固定はもちろん当てはまるのですが、栄養繁殖によっても繁殖時には揃うことになります。例えば宿根ビオラは完全に栄養繁殖ですし、またF1も品種と呼べるのではないかと思います。

F1は意味ないので置いといて、栄養系と固定品種は品種登録が可能になりますし。(めんどくさいらしいですが。)

ちょっと前だったか、新しく出来た品種には著作権がある的なことを書かれてる文を見たことが有りますが、まあ今の定義から考えると著作物に当たることはないと思います。品種登録は販売にかかる権利で登録して初めて育成者権が発生します。ですので自分が創ったんだーといっても登録申請しなければ育成者権は残念ながら行使できません。


次に私自身の疑問なんですが、昨シーズンだったかな?ネットでおそらく採種されたレディが石川園芸さんからではなく、他の生産者が作って名前も同じで売られる事がありました。いろんな所からの非難によってネットから販売のページは削除されました。

まあ知ってらっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

この件とどこが違うのかなと思ってることなんですが、フロステッドチョコレートという固定種のビオラです。元々は海外品種なんですが、種苗会社のカタログに載って種を売られていたもので、廃版になり海外からの供給がなくなり、おそらく国内で生産者さんが採種したものが作られて名前もそのままで売られているんだろうと思われますが、上記のレディの件とフロステッドチョコレートの件はどう違うのでしょうか?

もしかしたら別ルートからの種の輸入がある場合や、増殖販売を大元から許可をもらってる場合ならレディの件とは違うことになりますが、そうでなければまあ同じことになるんではないかなぁ。一般種は関係ない?一般種ももちろん人が関わって出来てます。

まあ、私的にはどっちでも構わないことなんですが、ちょっと気になって。


最後にこうなってほしいなって事を少しだけ。

多くの個人の方がパンジービオラの交配をされて、新しいものが出てきて、それを生産者が或いは種苗会社が製品化などで販売ってなったときのことなんですが、その個人の方へのしっかりとした契約に基づいた見返りをして行くような流れを作るべきではないかと思ってます。

自分が個人だとして、品種提供をすることになったらたぶん「いやいやそんなものは無くても自分が作ったものが商品になるならどうぞどうぞ!」ってなると思います。おそらくほとんどの方がそう思われると思うのですが、これは未来を考えるとあまりいい方向ではないように思います。

相場的なものがあるのかどうかは知りませんが、かかったコストに対する見返りは有ってしかりだと思います。

また、おそらく今の時代であれば、ネットでこんなのができました!っていう情報の出し方になると思いますが、難しいことだとは思いますが、運だけでなくしっかりとした販売への経路というか流れが出来ると目指しやすさが出来ていいじゃないかと思います。

さて、つらつら思ってることを書き連ねた感じですが、あまり有用なことがないかな。交配についてのことは川越さんがしっかり書かれてますのでそちらを見られると良いと思います。


最後にご意見やご感想などございましたらコメントでもメールでも気軽に書いていただければと思います。